針金

昔――もちろん今もあるだろうが――、学校の行事に運動会とか球技大会とかがあった。最大の問題は、私はこういった学校行事にほとんど関心がなかったから、いかに暇をつぶすかである。子供の頃は時間の流れがとにかく遅い。一時間の授業は現在の一日くらいに感じたものである。普通の授業だったら、教科書に落書きも出来るし、パラパラ漫画でも書いていれば良いわけだが、野外だとそういう技が使えない。地面でも見つめるしかない。そこで私はある遊びを考案した。当時は針金がいたるところに落ちていた。ちょっとトイレでも行くふりをして、そのへんをぶらぶらしてくると、適当な長さのブツが見つかったものである。これをぐしゃぐしゃにして立体のオブジェを作る。どうも自然界に似たものがないので、言葉で説明するのはちょっと難しい。南方マンダラの図を立体にしたようなものとも言えようか(今、その図を見たら、ちょっと違うな)。とにかく、針金のいろんなところを折り曲げて、急カーブや山やでこぼこを立体的に作れば、それで良い。次に針金のはしっこを一センチくらい切り(もちろん道具がないので時間をかけて手でやる)、それを∩の形に折り曲げる。準備完了。立体針金を片手で持ち、∩を端から端まで移動させる、というのが私の考案した遊びである。難易度の高いものをつくると、これがなかなか成功しない。精神集中が必要となってくるのである。このオモチャのおかげで何とか暇をつぶすことができたわけだ。しかし、この遊びはまったく流行らなかった。派手さに欠けるからだろうか?しかし、私は誰に教わったわけでもなく自分で考えたわけだが、同じ事をしていた人がかなりいるはずである。ひょっとして、この遊びには名前があるのでは、と思って調べてみても、それらしいものは見つからない。誰かやった人いませんかね?

7月21日(水)の『水曜日のハイツ』では、カレー大会をやります。カレー・チャージは食べ放題800円(出品者はH氏、T氏、私、他を予定)。