読書備忘録 2019-2023

2019年からはこんな本を読んでいました。

 

『大人は泣かないと思ってた』 寺地はるな 集英社 2018

『歴史的楽器の保存学』 郡司すみ(著) ロバート・L・バークレー (編集) 水嶋英治(翻訳) 音楽の友社 2001

『林檎の樹』 ジョン・ゴールズワージー 法村里絵訳

プラトーノフ作品集』 アンドレイ・プラトーノフ 原卓也訳 岩波文庫

硝子戸の中』 夏目漱石 新潮文庫

『能の見える風景』 多田富雄 藤原書店 2007

『海への沈黙 星への歩み』 ヴェルコール 河野興一・加藤周一訳 岩波文庫

『語るボルヘス』 J・L・ボルヘス 木村榮一訳 岩波文庫

『伝奇集』 J・L・ボルヘス  鼓直訳 岩波文庫

郵便配達は二度ベルを鳴らす』 ジェイムズ・M・ケイン 池田真紀子訳 光文社古典新訳文庫

『誕生日のこどもたち』 トルーマン・カポーティ 村上春樹訳 文春文庫

グレート・ギャツビー』 スコット・フィッツジェラルド 野崎孝訳 新潮文庫

シュトックハウゼンのすべて』 松平敬 アルテスパブリッシング 2019

ムッソリーニ:一イタリア人の物語』 ロマノ・ヴルピッタ ちくま学芸文庫

ジョン・ケージ 作曲家の告白』 ジョン・ケージ 大西 穣訳 アルテスパブリッシング 2019

『すべての音に祝福を ジョン・ケージ 50の言葉』 白石美雪 アルテスパブリッシング 2019

"Experimentalism Otherwise: The New York Avant-Garde and Its Limites"  Benjamin Piekut    University of California press    2011

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 加藤陽子 新潮文庫

日本会議の研究』 菅野 完 扶桑社新書 2016

『こうして管楽器は作られる 設計者が語る「楽器学のすすめ」』 竹内明彦 Yamaha   2019

イェルサレムアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』 ハンナ・アーレント 大久保和郎訳 みすず書房

『わらべうたは死なず』 小出英樹 ブイツーソリューション 2018

『ボリス・ゴドゥノフ』 プーシキン 佐々木 彰訳 岩波文庫

"MUSIC, SOUND and SENSATION: A MODERN EXPOSITION"  Fritz Winkel  translated from the German by Thomas Binkley   Dover 1967

『日本史・世界史 同時代比較年表 その時世界の裏側で』 楠木誠一郎 朝日選書 2005

第一次世界大戦史 風刺画とともに見る指導者たち』 飯倉 彰 中公新書 2016

『人間はどういう動物か』 日高敏隆 ちくま学芸文庫 2013

『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』 坂井豊貴 岩波新書 2015

『鳥獣害 動物たちと、どう向き合うか』 祖田 修 岩波新書 2016

『日本音楽がわかる本』 千葉優子 音楽之友社 2005

ハンガリー事件と日本 一九五六年・思想史的考察』 小島亮 現代思潮社 2003

『トラクターの世界史』 藤原辰史 中公新書 2017

『まるごとアコギの本』 山田篤志 青弓社 2017

『リベラル・デモクラシーの現在――「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで』 樋口陽一 岩波新書 2019

 『ゲノム編集を問う――作物からヒトまで』 石井哲也 岩波新書 2017

『表現の世界 芸術前衛たちとその思想』 松本俊夫 三一書房 1967

イスラエルユダヤ人 考察ノート』 佐藤 優 角川新書 2020

『私家版・ユダヤ文化論』 内田 樹 文藝春秋 2006

阿部薫――僕の前には誰もいなかった』 大島彰編集 文遊社 2020

プロテスタンティズム』 深井智明 中公新書 2017

プーチンロシア革命――百年の蹉跌』 遠藤良助 河出書房新社 2018

『日本の太鼓、アジアの太鼓』 山本宏子 青弓社 2002

『くらしの昭和史 昭和のくらし博物館から』 小泉和子 朝日新聞出版社 2017

ユダヤアメリカ』 立山良司 中公新書 2016

『世界を操るグローバリズムの洗脳を解く――日本人が知るべき「世界史」の真実――』 馬渕睦夫 悟空出版 2015

『日本人が誤解している東南アジア近代史』 川島博之 扶桑社新書 2020

モンスターペアレント 「親バカとバカ親は紙一重」』 諸富祥彦 アスペクト 2008

『物語 バルト三国の歴史』 志摩園子 中公新書 2004

『昭和史の本質 良心と偽善のあいだ』 保坂正康 新潮新書 2020

『現代中国 都市と農村の70年』 浜口允子 放送大学叢書 2019

ウイグル人に何がおきているのか 民族迫害の起源と現在』 福島香織 PHP新書 2019

『令和日本の敗戦――虚構の経済と蹂躙の政治を暴く』 田崎 基 ちくま新書 2020

『ルポ トランプ王国 ――もう一つのアメリカを行く』 金成隆一 岩波新書 2017

『ルポ トランプ王国2 ――ラストベルト再訪』 金成隆一 岩波新書 2019

『トラベシア Vol 5  音楽と金』 発行:鈴木並木 2020

『もうひとつの「幕末史」』 半藤一利 三笠書房 2015

『日本の戦争と宗教 1899―1945』 小川原正道 講談社選書メチエ 2014

『殺人現場は雲の上』 東野圭吾 光文社文庫 1992

『「ネイチャー」を英語で読みこなす 本物の科学英語を身につける』 竹内 薫 2003 講談社

『日本伝統音楽の研究1』 小泉文夫 音楽之友社 1953

『それでも東条英機は太平洋戦争を選んだ』 鈴木壮一 勉誠出版 2018

『日本の音階を探る』 東川清一 音楽之友社 

明治維新という過ち【改訂版】日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』 原田伊織 毎日ワンズ 2015

『ウイルスは存在しない ~感染症の本質をリアルサイエンスで読み解く~ 上巻』 崎谷博征 ホリスティック・ライブラリー 2021

 『【戦後史の開放 1】歴史認識とは何か 日露戦争からアジア太平洋戦争まで』 細谷雄一 新潮選書 2015

『すべては朝日新聞から始まった「慰安婦問題」』 山際澄夫 WAC 2014

明治維新という名の洗脳 150年の呪縛はどう始まったのか?【新装版】』 苫米地英人 ビジネス社 2017

ファシズムの正体』 佐藤 優 インターナショナル選書 2018

真珠湾の真実 歴史修正主義者は何を隠したか』 柴山哲也 平凡社新書 2015 

朝日新聞元ソウル特派員が見た「慰安婦虚報」の真実』 前川 惠司 小学館 2014 

『これが世界と日本経済の真実だ』 高橋洋一 悟空出版 2015 

『声の世界を旅する』 増野亜子 音楽之友社 2014 

『保守思想のための39章』  西部 邁 ちくま新書 2002

蔡英文の台湾 中国と向き合う女性総統』 張 瀞文著 丸山 勝訳 2016 毎日新聞出版

『新型コロナ』 上久保靖彦 小川榮太郎 2020 WAC

馬渕睦夫が読み解く 2020年世界の真実――百年に一度の大変革期が始まっている』 馬渕睦夫 WAC 2019

『新・台湾の主張』 李 登輝 PHP新書 2015 

『日本の音 世界のなかの日本音楽』 小泉文夫 青土社 1977 (再読)

『リベラルの自滅「日本再発見」講座III』 馬渕睦夫 KKベストセラーズ 2017

『職業としての政治』 マックス・ヴェーバー 脇 圭平訳 岩波文庫 1980

『イラン 世界の火薬庫』 宮田律 光文社新書 2007

『私の信仰――キリスト者として行動する』 アンゲラ・メルケル フォルカー・レーシング編 松永美穂訳 新教出版社 2018

『経済と国家がわかる 国民の教養』 三橋貴明 扶桑社 2011 

『日本破滅論』 藤井聡 中野剛志 文芸新書 2012

第一次世界大戦と日本』 井上寿一 講談社現代新書 2014

『官賊と幕臣たち ~列強の日本侵略を防いだ徳川テクノクラート~』 原田伊織 毎日ワンズ 2016

『チョコレートの世界史』 武田尚子 中公新書 2010

『コロナワクチンの恐ろしさ』 高橋 徳 中村篤史 船瀬俊介 成甲書房 2021

『コロナ・ショックは世界をどう変えるか――政治・経済・社会を襲う危機』 イワン・クラステフ 山田文=訳 中央公論新社 2020

『新型コロナワクチン本当の真実』 宮坂昌之 講談社現代新書 2021

『リベラルとは何か』 田中拓道 中公新書 2020

保守主義とは何か』 宇野重規 中公新書 2016

『TPPと食料安保 韓米FTAから考える』 中村靖彦 岩波書店 2014

『農業消滅 農政の失敗がまねく国家滅亡の危機』 鈴木宣弘 平凡社新書 2022

『コメの嘘と真実 新規就農者が見た、とんでもない世界』 近正宏光 角川新書 2013

『民舞に恋して~民族舞踊を子どもたちに~』 園田洋一[著」 東京民族舞踊教育研究会[編』 新日本出版社 2015

『私たちはどこから来て、どこに行くのか』 宮台真司 幻冬舎 2014

『保守の遺言  JAP.COM衰滅の状況』 西部 邁 平凡社新書 2018

『きみも音楽家になれる』 トム・ウォルサー 福山敦夫訳 晶文社 1986

『ニック・ランドと新反動主義』 木澤左登志 SEIKANSHA SHINSHO 2019

『暗黒の啓蒙書』 ニック・ランド 序文:木澤左登志 訳:五井健太郎 講談社 2020

『世田谷代官が見た幕末の江戸』 安藤雄一郎 角川SSC新書 2013 

『「フルベッキ群像写真」と明治天皇”すり替え”説のトリック』 斎藤充功 ミリオン出版 2012

『暗殺の幕末維新史』 人坂太郎 中公新書 2020

『新装版 激動の日本近現代史1852-1941』 宮崎正弘 渡辺惣樹 ビジネス社 2020

日中戦争スターリンが仕組んだ』 鈴木壮一 勉誠出版 2018

『世界楽器入門 好きな音 嫌いな音』 郡司すみ 朝日選書 1989

『香港とは何か』 野嶋 剛 ちくま新書 2020

『楽器の科学 角笛からシンセサイザーまで』 橋本 尚 1979 講談社

『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』 橘玲 2016 集英社

『「社会を変えよう」といわれたら』 木下ちがや 2019 大月書店

『他人に踊らされたくないのなら、疑う力を鍛えなさい』 武田邦彦 ぶんか社 2017

『右傾化する日本政治』 中野晃一 岩波新書 2015

『東京洞窟厳選100』 中野 淳 講談社 2009

八咫烏の「超」日本史』 大加茂真也 ヒカルランド 2013

『フード左翼とフード右翼』 速水建朗 朝日選書 2013   

『君よ わが妻よ  父 石田光治少尉の手紙』 石原典子 文芸春秋 2010

『新しい左翼入門—―相克の運動史は超えられるか』 松尾 匡 講談社現代新書 2012

『神社とは何か』 新谷尚紀 講談社現代新書 2021

『「日本」を捨てよ』 苫米地英人 PHP新書 2012

『図解 世界楽器大辞典』 黒沢隆朝 雄山閣 1994

『島とクジラと女をめぐる断片』 アントニオ・タブッキ 須賀敦子 訳 河出文庫 2018

『神社のどうぶつ図鑑』 監修 茂木貞純 二見書房 2018

『新訳 星の王子さま』 アントワーヌ・サン=デグジュペリ 倉橋由美子訳 宝島社 

丸山眞男田中角栄』 佐高 信/早野 透 集英社新書 

『バカが多いのには理由がある』 橘玲 集英社 2014

ケインズを学ぶ――経済学とは何か』 根井雅弘 講談社現代新書 

『14歳からの社会学』 宮台真司 世界文化社 2008

『音楽が聴けなくなる日』 宮台真司 永田夏来 かがりはるき 集英社新書 2020

『日本の思想』 丸山真男 岩波新書 1961

『戦争と国際法を知らない日本人へ』 小室直樹 徳間書店 2022

『日本人と日本語』 宮川俊彦 角川書店 2013

『数学を使わない数学の講義』 小室直樹 WAC 2018

『国民のための戦争と平和』 小室直樹 ビジネス社 2018

『漢字と日本人』 高島俊男 文春新書 2001

亜細亜主義の顛末に学べ』 宮台真司 実践社 

言語ゲームの練習問題』 橋爪大三郎 講談社新書 

『評伝 小室直樹 (上) ——学問と酒と猫を愛した過激な天才——』 村上篤直 ミネルヴァ書房 2018

『これでいいのか、にっぽんのうた』 藍川由美 文芸新書 

『スペイン内戦』 川成 洋 講談社学術文庫 

『暗殺の近現代史』 洋泉社編集部(編者) 洋泉社 2015

公安警察の手口』 鈴木邦男 ちくま新書 2004

フランス革命についての省察』 エドマンド・バーク 二木麻里訳 光文社古典新訳文庫 

『まるごとマンドリンの本』 吉田剛士 青弓社 2022

『魂の詩人 パゾリーニ』 ニコ・ナルディー二 川本英明訳 鳥影社

『覚悟!』 西部邁/石川好 弓立社 1989 

『幕末史かく流れゆく』 中村彰彦 中央公論新社 2018

明治天皇の世界史』 倉山 満 PHP新書 2018

『幻の楽器 ヴィオラ・アルタ物語』 平野真敏也 集英社新書 2013

『「世界史と日本史」同時授業』 村山秀太郎+伊藤賀一 アーク出版 2022 

"Junk Percussion"  Roger Turner & Mari Kamada    Terra Nova Editions  2022

『哲学入門一歩手前――モノからコトへ』 廣松渉 講談社現代新書 

『世界史としての「大東亜戦争」』 細谷雄一 PHP新書 2022

『一九世紀後半における国際関係の変容と国境の形成――琉球樺太・千島・「竹島」・小笠原』 麓 慎一 山川出版社 2023

『日本の洋食――洋食から紐解く日本の歴史と文化――』 青子ゆり子 ミネルヴァ書房 2018

『創られた「日本の心」神話――「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』 輪島祐介 光文社新書 2010

『外来食文化と日本人』 八百啓介[編]・九州外来食文化研究会 弦書房 2020

『日米戦争 最大の密約』 田中英道 育鵬社 2021

『食の文化史』 大塚 滋 吉川弘文館 

グローバリズム植民地 ニッポン あなたの知らない「半成長」と「平和主義」の恐怖』 藤井 聡 ワニブックス 

『本物の思考力を磨くための音楽学』 泉谷閑示 yamaha music media 2019

ギター講座

極めて特殊なギター講座をやります。

確かに、ギター講座(あるいはギター・レッスンのようなもの)ではあるのかもしれないが、その内容はまった予想できないものになるはず。「こんな――誰々さんのような―ギターが弾きたい」、「ギター演奏の基礎を知りたい」、「ギターで弾き語りをやってみたい」等の要望に対しては、100%とは言えないが、ほとんど答えられない内容になるだろう。裏の裏、奥の奥、つまりギターをある物体に弦が張られた原始的オブジェとして一旦とらえて、そこから音を出す――音階や音程とは何かを考える――から始める。そういう意味では、ギターを何年も弾いているという上級者も、ギターを触ったことすらないという「初心者以前」の方も、敷居の高さはそれほど変わらないのかもしれない(もちろん、経験者はギターという楽器の構造やメカニズムに関する知識があること、楽器を長年弾くことで培われた、音感、楽器の構え方や体の使い方等の面で、アドバンテージが高いことは間違いないが、それでも「初心者以前」の方も歓迎する)。

何故なら、私が伝えたいと思っている技術や知識は、「それ」が何なのかを知らずに無意識に使っていはいても(かつての私がそうであった)、恐らく99%以上のギタリストが知らないから。

具体的には、倍音の理論、ナチュラル・ハーモニクスによるチューニング、それから高次のナチュラル・ハーモニクス(まずは第10ハーモニック/倍音くらいまで)を使って、音階や旋律を弾く。ここまでが第一段階。この技術を習得すると、広範囲の音楽(ジャンル)に用いることができる。にもかかわらず、この奏法を教えている本も教則本も、インターネット動画も(今のところ)私は知らない※。知っている人がいたら是非教えて欲しい。これはとてももったいないことなのだ。

とりあえずはここまででも良いのだが、次には、例えば長音階であっても様々な音(音程)によって作れるということ――音律や旋法、それからさらに高次のナチュラル・ハーモニクス倍音)――第16倍音まで――の鳴らし方といったことを教えられると思う。

そして、その先もあるが、それを今は言わないでおこう。

 

 

YouTubeにはハーモニクス奏法を説明する動画がいくつかあったが、私が観たものでは、日本のものも、英語説明される外国のものも、5フレット、7フレット(19フレット)、12フレット上の弦に触れることで発音される――つまり第2から第4――ハーモニクスばかりで(ひとつだけ4フレット上のハーモニクスに触れるものもあった)、ナット及び指で押さえられたフレットとブリッジ間の弦のいたるところにハーモニック・ポイント(そこを軽く触れて弾くと何らかのハーモニクスが出る節のこと)があることに軽く触れるものがいくつかあっただけである。またいくつかの動画ではハーモニクス奏法にタッピング等を組み合わせた超絶技巧を披露しているものもあり、大いに関心を惹いたが、こういう技術は私の手に余るものだ。

 

 

 

①講座名:杉本拓ギター講座

②開催日時:2025年1月19日より、原則、毎月第一と第三の日曜日 13時~16時(開場12時半)。毎月のスケジュールはTwitter(X)で更新します。ご参加の方は事前予約お願いします。

③会場:台東区根岸5-5-11 アトリエ根岸 

JR鶯谷駅、東京メトロ三ノ輪駅からそれぞれ徒歩10分で、会場は路地裏にあります。わかりづらい場所にありますので、近辺までいらしたらお電話ください。但し13;00時以降は電話対応不可能ですのでよろしくお願いいたします。

④受講料:一回2000円 *恐れ入りますが、釣銭が生じないようにお願いいたします。

その他、ご予約・お問い合わせ:アトリエ根岸のTwitter(X)アカウント

@AtelierNegishi

またはメール plainsong14@gmail.com 電話 08058806596(タカハタ)までお願いいたします。

 

 

以下、杉本拓より:

予約等のお問い合わせについては、私のメール・アドレスでも受け付けます。質問もどうぞ。

gesubancho@aol.com

受講者は、会場の都合もあり限定5名です(が、ふたり決まっているので、残り3名になります)。参加者にはアコースティックギターを持参してもらうことになりますが、こちらで一名分は用意が出来ます(私/杉本が持っていきます)。その際はご連絡ください。

また、基本的に、(特に最初の数回は)ハーモニクス奏法についての講座になるので、親指を除く右手(利き手)の爪をある程度は伸ばしていただいた方が演奏はしやすく、推奨しますが、ピックでも代用は出来ます。

それでは、ご参加をお待ちしています。

 

★残り2名になりました。

★定員に達したので締め切りました。

 

 

 

 

言葉と旋律

 

「言葉と旋律」という講座をやります。

ある言葉からどのようなメロディーが導かれるのか?

歌詞に対して自由にメロディをつけることも、もちろん出来る。むしろ作り手の多くは、そうやって自由に歌――言葉をメロディーに乗せるもの――を自分は作っている、そして聴き手の多くも歌はそのように作られるものだ、と思っているのかもしれない。

人が日常で発する言葉には抑揚があり、声を大きくしたり、小さくしたりする他、音(ピッチ)の高低を伴うものもある。それらの音は自然発生的に生まれるもので、特に音高については、この音を高く、次の音を低くしよう、とはっきり意識して発音している人はまずいないだろう。音声言語としての言葉がイントネーションを決定していることが多いのである。

こうした「歌以前」と思われている声の表現の中には、私が「わらべうた」として考えているものも多い。和声進行もなく、使われる音高も少ないが(ふたつやみっつのものもある)、立派な歌である。西洋音楽史の視点では、音楽はモノフォニー(単旋律)から始まり、ポリフォニー(多声音楽)、ホモフォニー(和声音楽:単純に説明すると、現在の多くのポピュラー音楽のように、主旋律を他の声部が和声的に伴奏して進行する音楽)と進化したことになっている(その後は12音音楽、電子音楽、ムジーク・コンクレート、偶然性の音楽等が登場するが、今回の講座とはあまり関係ないので、説明は割愛する)。

上記のような進化論に従えば、わらべうたを含む単旋律音楽はもっとも単純で原始的な音楽ということになる。そうかもしれない。そうでないかもしれない。それはまあいい。しかし、私にとって単旋律音楽は、もっとも興味深い音楽の最前衛に位置している。

今回の講座は「わらべうた」から始める。サンプルは私がここ十年ほどの間、自分の生活空間の様々な場所で採集したきた歌から言葉と音の関係の考察を始めたい。ここには純粋な意味ではわらべうたとは言えない、物売りの口上等も含まれる。それから、私が小学生の時に、自分や同級生が作ったわらべうたも紹介する。 そこから先は何もきめていない。こういう講座を体系的に進めることは私にはできない。脱線や雑談も頻発するだろうし、着地点も不明な、いきあたりばったりの企画である。それでも良い、とおっしゃる猛者の方の参加をお待ちしています。

 

 

 

 

 

①講座名:杉本拓「言葉と旋律」

 

②第一回開催日時;2023/11/3(金・祝日)13:00-16:00(開場12:30)

 

③会場;台東区根岸5-5-11 アトリエ根岸

 

④受講料;1000円

 

*①最終的に何回になるか未定ですが、複数回開催予定の講座です。

 

*②12月以降は原則、毎月第一日曜日に開催予定

 

*③最寄り駅 JR鶯谷駅、東京メトロ三ノ輪駅からそれぞれ徒歩10分で会場は路地奥にあります。当日、路地入口に看板を出しておきますが、わからなかったらご案内しますのでお電話ください。但し13:00以降は電話対応不可です。よろしくお願いいたします。

 

*④恐れ入りますが、釣銭が生じないようにお願いいたします。

 

その他、

 

*講座開始前と講座終了後、会場にて飲食可です。また会場敷地内のベンチ、雨天時は会場内ロビーにて喫煙可です。

 

*お問い合わせ;アトリエ根岸のTwitter(X)アカウント @AtelierNegishi または電話で08058806596(タカハタ)までお願いいたします。

Radu MalfattiとStefan Thutのコンサート@Ftarri水道橋店

Radu MalfattiとStefan Thutのコンサートを企画しています。

楽器編成や演目はまだ未定の部分が多いので、適時アップデートします。

Ftarriのコンサートの予約はFtarriまでお願いします。あるいは知人/友人/そのほか私に連絡可能な人は予約を承ります。

http://www.ftarri.com/suidobashi/

 

9月22日(日)

Radu Malfatti + Suidobashi Chamber Ensemble

19:30開場

20:00開演

予約:2500円

当日:3000円

Radu Malfatti(バス・ハモニカ

池田若菜(フルート)

池田陽子(ヴァイオリン、ヴィオラ

大蔵雅彦クラリネット

杉本拓(ギター)

内藤彩(バスーン

Radu Malfattiによる作曲作品を作曲者と共に演奏。

 

9月27日(金)

Stefan Thut + Radu Malfatti + 佐伯美波 + Suidobashi Chamber Ensemble

19:30開場

20:00開演

予約:2500円

当日:3000円

Stefan Thut(チェロ)

Radu Malfatti(バス・ハモニカ

佐伯美波(ヴォイス)

池田若菜(フルート)

池田陽子(ヴァイオリン、ヴィオラ

大蔵雅彦クラリネット

杉本拓(ギター)

内藤彩(バスーン

佐伯美波のヴォイスをフィーチャーしたamidist等、Stefan Thutの作曲作品の演奏。

 

9月28日(土)

Radu Malfatti + Stefan Thut

19:30開場

20:00開演

予約:2200円

当日:2500円

Radu Malfatti(バス・ハモニカ

Stefan Thut(チェロ)

それぞれのソロとデュオ

 

9月29日(日)

Radu Malfatti + Stefan Thut + 杉本拓 + 佐伯美波

19:30開場

20:00開演

予約:2200円

当日:2500円

Radu Malfatti(バス・ハモニカ

Stefan Thut(チェロ)

杉本拓(ギター)

佐伯美波(ヴォイス)

杉本の曲をThut、佐伯、杉本のトリオで演奏すること以外、内容は今のところ未定。

 

10月3日(木)

Stefan Thut + 池田若菜 + 岡田拓朗

20:00開場

20:30開演

前売り:2000円

当日:2500円

Stefan Thut(チェロ)

池田若菜(フルート)

岡田拓朗(ギター)

演奏曲目
・afar (Stefan Thut , 池田若菜)
・FL-part D,E (池田若菜, Stefan Thut, 岡田拓郎)
 

 

黒坂麻衣さん

黒坂麻衣さんが亡くなりました。7日のことです。信じられなかった。でも受け入れるしかないとも思いました。とても苦しかったです。あの時こうすればよかった、ああすればよかったばかりが頭をよぎりました。麻衣さんが帰ってくるわけでもないのに。後悔です。先ほど麻衣さんのお母様からメッセージがきました。そして私が告知をすることを承諾してもらいました。私は麻衣さんを深く愛していました。私は彼女の恋人でしたから。少なくとも私自身はそう思っています。正直に彼女は色々な問題を抱えていて、私としても大変だったけど… しかし、それでもそれに勝る喜びが常にあった。麻衣さんは素晴らしい人だった。彼女は私を感動させてくれたし、とても聡明な意見をくれて救われたことが何度もある。今私はとても苦しいですが、彼女に出会わなければ良かったなんて決して思えない。とても幸せな日々だった。感謝しかない。幸福と笑いがあった。楽しかった。同じ芸術家として色んなことを話した。そういった想いは時がたつにつれ、ひょっとしたら薄まるかもしれない。でも消えることはないでしょう。今のこの苦しみを超えて私は立ち直ります

 

 ずっと固形物が喉を通らなかったが、今日やっとまともな食事をすることができた。といっても立ち食いそばですが。そういえば麻衣さんと最後に一緒に食べたのも立ち食いそばでした。先日友人と会い「麻衣さんは荒んでいた杉本さんを救うために現れて、その役目を果たして去って行ったのでは?そんな感じがする。杉本さんは変わったから」というようなことを言われました。確かにそうだとしか思えない。そう思わないとやっていけない。亡くなる数日前に彼女は私の今度リリースされるCDのために絵を仕上げてくれました。彼女が去っていった悲しみを超えて私は生きなければいけない。そしてその生き方も変えなければ。自分の仕事に全力で挑もう。ここ何日かはずっとそういうことを考えてきました。出会う前から麻衣さんの描く絵にとても惹かれていました。彼女の絵には極めて非凡なものがあった。私にはそれがよくわかります。それを研ぎ澄ましていけばなにかとんでもない作品が出来たかもしれない。しかし、それは危険な賭けだったかもしれません。芸術家の人生とは、生き方とは何によって決まるのか?私は、長く生きることでも、作品の数でも、もしかしたら成し遂げたことによって決まるのでもない気がしてなりません。可能性の追求が出来たか、だと強く思うのです。作品は可能性の追求の過程で生まれる派生物なのではないのでしょうか?もちろんそこにはこの追求の痕跡があり、それを通してなにかが受け継がれていく。過程だけがすべてなのです。私は麻衣さんと一緒の現実の幸福も求めていた。だがそれは極めて難しかったと思います。私と麻衣さんとの時間はふたりの社会不適合者(芸術家)による可能性の追求の旅のようなものでした。出会いも必然だったと思います。全てが運命だったのでしょう。

 

無茶苦茶な旅だったけど、とても楽しかったよ、麻衣。私のダメ人間ぶり、社会不適合者ぶりはこれからも変わらないかもしれない。でも、あなたからバトンタッチされたもの、そして自分の理想は決してなくさないよ。I was really happy to have met you.

 

思ったことをすべて書いたように思います。

solo for strings、そしてnexusについて

去年の2月、私はインフルエンザで寝込んでいた。と言っても、なんか熱っぽいなあ、と体温を測ったたら39度あり、人に移してはいけないと思い念のために医者にいったらインフルエンザが判明しただけで、実際に寝込んだのは――というより横になっていたのは1〜2日だけで、私は普通に生活していた(つまり、普通に食事をし、あろうことか酒まで飲んでいた)。インフルエンザが判明した頃はもう回復していたので、もらった薬は捨てたほどである。
横になっていたときに、メロディーの断片がいくつか頭の中に浮かんできた。私はそれらを整理し、それが弦楽器のハーモ二クスで再現可能か否かを検討し、場合によっては音を変え、そうして、そこからふたつの曲を作った。その過程は全て頭の中でおこなわれていたため、忘れないように何回も脳内再生し、翌朝になって――あるいはもう午後になっていたのかもしれないが――それらを五線譜にしたのである。solo for viola 1とsolo for violoncello 1がそうである。
私はこれらの曲を、誰かにどこかで演奏してもらうという具体的なプランを持たずに書いた。ただ作曲したわけである。ではあるが、そのすぐ後に作曲したsolo for viola 2とあわせてsolo for viola 1はJohnny Changと池田陽子、solo for violoncello 1はStefan Thutに送った。そして同時期に水道橋チェンバー・アンサンブルがJohnnyの曲を演奏するコンサートが水道橋のフタリと大崎のl-eであり、そのふたつのコンサートでそれぞれsolo for viola 1とsolo for viola 2は演奏された。solo for violoncello 1のほうは、同年の3月から4月にかけての佐伯美波とのSongsのヨーロッパ・ツアーにおけるシェフィールドでのコンサートにおいて、Ecka Mordecaiによって演奏され、後にStefan Thutのソロ・リサイタルでも演奏された。
こうして、私が"solo for strings"と仮に呼ぶところのシリーズが始まったわけであるが、最初のうちはこのシリーズの曲のそれぞれは純然なソロの楽曲として作曲されていた。ところがこのシリーズにとりかかる少し前にコントラバス/チェロ奏者であるFelicie Bazelaireから、彼女の弦楽アンサンブルのための作曲を私は受けていたのだが、実際にアンサンブルのメンバーの誰がコンサートなり録音のために演奏できるかと言うことが不確定なことも手伝って、私には明確なアイデアがまるで浮かばないという状態が長く続いていた。あるとき閃いたのが、この"solo for strings"を同時演奏したら面白いのではないかということであった。(注1)
弦楽器のチューニングは完全5度、あるいは完全4度(コントラバス)でおこなう。それらが純正にチューニングされるとき、隣り合う開放弦の協和度は高く、それらの弦から発生する倍音はその一部であると解釈すればよいのではないか、またハーモ二クスは純音に近いので、それらから発生する倍音によるうなりを生じることは少くなくなるであろう、というのが"solo for strings"の各曲の同時演奏を実行しよう思い立った理屈である。
このアイデアを後押ししたのが、Songs用に作ったhである。2017年の秋にSongsのツアーをしていたときに、私達は池田陽子、池田若菜、Stefan Thut、Manfred Werderをくわえてのセクステットでのコンサートと録音をおこなった。そのときにStefanが作曲した"amidst"に感銘を受けた(というよりくやしかったのかなあ)私は新たに1曲作ってSongsのレパートリーに入れようと思ったわけである。作曲はデンマークの友人宅で始まったが、多くのパートはそこからフィンランドヘルシンキに行くまでの空港と飛行機の中で書いた。私はギターの2弦をCにチューニングすることで(3弦のGから純正の完全4度に合わせる)、ピタゴラス音律のCメジャーと純正律のAメジャーがハーモ二クスにより同時に演奏可能なことに気がついた。この曲は少なくともギターでは、ピタゴラス音律のCメジャーと純正律のAメジャーによる短い反復するメロディが交互に出てくることで構成されている単旋律の曲である。
しばらくして、これに他の楽器を加えるというということを思いついた。というか、そういう必要が実際に出てきたのである。私は共演者のためにチェロ、コントラバス、サイントーンのパートを書いた。(注2)
このときにいまさらながら気付いたことがふたつある。ひとつはhのためのギター2弦の調弦Cはヴィオラの4弦開放弦のオクターブ上、チェロの4弦開放弦の2オクターブ上と(セント値およびヘルツは)理論的には同じ音程であることと、完全5度で調弦する弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)ではハーモ二クスによる純正律長音階の演奏が極めて難しいことであった(というか人工的ハーモ二クスを用いずに長音階を奏でることは可能なのだろうか?)。ギターと同じ完全4度で調弦するコントラバスではそれほど高次倍音を使わなくても割合自由な旋律が書けたが、チェロではそうはいかなかったことである。hのためのチェロのパートとコントラバスのパートはまったく違う性質のものとなった。サイントーンはそういった制約から自由であるが――なので使い勝手がよいと言えるが――、私は弦楽器におけるこの制約と縛りがとても面白いと感じるようになった。
歌とギターのヴァージョンでも、それぞれのメロディ(おなじ単旋律を共有する)を完全に縦にあわせることは想定しておらず、それぞれが自分のテンポを維持しながらも相手の音を聴き、むしろところどころで意図的にずれることを望んだ。つまり、A majorのメロディにC majorのメロディが重なってても良かったわけである。チェロとコントラバスもパートもA majorとC majorのメロディーが交互に出てくるようにように書いたが、これらも実際は適度にずれて演奏されることが望ましいので、所謂対旋律とは呼べないものになっていると思う。サイントーンのパートは弦楽器(主にギター)でハーモニクスが弾かれる弦の高次倍音から構成されており、ここに調性的なものはほとんどない。ピタゴラス音律のCメジャーとも純正律のAメジャーともまったく違った音律なのである。これらを同時に鳴らしたらどうなるのか?私はその音が聞きたかった。そして、hのチェロ・パート、コントラバス・パート、サイントーン・パートを書いていた時期が
"solo for strings"を書き始めた時期とちょうど重なっているのである。
次に私は"nexus"というシリーズに着手した。始めたのは去年の8月か9月であったと思う。表向きはソロの曲となっているが――そして実際にソロで演奏されることが多いが――、今度は全ての曲が最初から同時演奏を想定して書かれている。(注3)
このシリーズではあまりハーモ二クスは使われない。今度は逆にハーモ二クスによって失われるであろう倍音に耳をすますことで純正音程(整数比音程)を得ようというのが狙いであった。
私はまず自分の楽器であるギターのために数曲書いた。ギターでどうやって微分音を弾くか、がまず問題となる。ロック・ギタリストであれば大抵知っているテクニックのひとつにベンディング(日本ではチョーキングとして知られている)というテクニックがある。それについて細かい説明するのは面倒なので省略するが、要するに弦を上下に引っ張って音を上げるテクニックである。ソリッド・ギターに張るような細い弦を使えば全音(あるいはそれ+半音)は音を上げられる。だが下げることはできない、と多くのギタリストは思っていることだろう。ところがそうではない。弦のゲージにもよるが、私が使っている12-52くらいの弦でも、20セントくらいは下げられるのである。抑えている指をブリッジ側に引っ張ればよい(ナット側に引っ張れば反対に音は上がり、このやり方を覚えておいてもソンはない)。ただし、どこでもというわけにはいかない。そのやり方で音が下がるは7フレットくらいから先である。
具体的に書くと、nexus 1 (for guitar)で私が使った音律は、1、8/7、5/4、4/3、5/3の5音音階である。まずはシンプルなものからスタートしたかった。1は4弦の開放弦Dにした。それをもとに(つまりその開放弦に含まれる倍音を聞きながら)純正音程をとるには、8/7と5/4を5弦の7フレットと9フレット使って弾かなければならない。(注4)5/4を3弦の開放弦にあてるという手もあるが、私はその開放弦を4/3のためにとっておきたかったのである。そこから音をとるガイドとなるであろうシンプルな整数比音程にはなるべく開放弦をあてたほうがよいと私は思う。
8/7を得るには、開放弦Dをガイドにして、その第7倍音が5弦7フレットをベンディングした音の第8倍音と近くなれるようにすればよい。そのふたつの倍音間に生じるうなりを注意深く聴き、そのうなりがなくなるようにすれば、望んだ整数比に近い音程になる。5/4は5弦9フレットを使って、先述のテクニックで音を下げる。4弦D以外にも2弦開放弦B-18もガイドになる(そういうところもこの曲にはある)。この音程はとりやすいと思う。
しかし、私はそれとわかるダブル・ストップ(重奏)をこの曲では使っていない。音程をとるためとは言え。これ以上の制限を設けたくなかったのと、他の曲との同時演奏が頭にあるので、まずはなるたけ単純な曲をまず作りたかったのである(後に作ったnexus 6 for guitarではダブル・ストップがフィーチャーされている)。その代わりに、隣り合うふたつないしみっつの音をなるべくオーバー・ラップさせることで音程をとるやり方を選んだ。
nexus 2はヴィオラのために書いた。今度はギターとは違い、低い弦をガイドとして鳴らしながら隣の高い弦を弾くようにしたが、それはその方が指使い的にも楽になるからでもある。この曲では全編にわたってダブル・ストップで奏されるがこれも楽器の特性と弾きやすさ(音程のとりやすさ)を考慮した結果である。そしてすべてのダイアド(2音の和音)は完全5度より広いものとなった(しかし、そのほうが協和度が高くなるケースも多い)。
短い解説を書くつもりが長くなってしまいました。続きはまたの機会ということで、最後に、去年の11月にベルリンで私の弾くnexus 1、Denis Sorokinの弾くnexus 3、Johnny Changの弾くnexus 2の同時を試みたが、大変に満足できる結果となったことを報告しておこう。


(注1)
これまで書かれた"solo for strings"の曲は、solo for viola 1、 solo for violoncello 1、 solo for viola 2、 solo for the E string of guitar、 solo for violin 1、 solo for contrabass 1、 solo for the G string of vc or cb 1、 solo for the G string of vc or cb 2、 solo for the G string of vln or vla、 solo for sine-tonesであるが、同時演奏のアイデアが浮かんでから書いたのはsolo for contrabass 1以降の曲になる。またsolo for the E string of guitarとsolo for sine-tonesはいわば番外であるが、"solo for strings"各曲との相性は良いはずである。
ギターが弦楽器であることとハーモ二クスの音色がサイントーンに近いからである。実際に、Felicieによるsolo for violoncello 1、Stefanによるsolo for violoncello 1、私によるsolo for the E string of guitar、Léo Dupleixによるsolo for sine-tonesの同時演奏はとても興味深いものとなった。
(注2)
しかしこれまでにチェロ、コントラバス、サイントーンがそろったことは一度もない。
(注3)
これまでに書いたのは、nexus 1 for guitar、nexus 2 for viola、nexus 3 for guitar、nexus 4 for voice and guitar nexus 5 for guitar(s)、nexus 6 for guitar、nexus 7 for violin、nexus 8 for viola and/or voiceである。ギターや弦楽器のための曲が多いが理由は本文に書かれていると思う。
(注4)
発言楽器は弦の長さが短くなると減衰も早くなる。例えば1弦開放弦Eのほうが3弦9フレットを押さえてだすEよりも減衰が遅い。このことは考慮にいれなくてはならない。

読書備忘録 2018 および1月のコンサートの宣伝

あけましておめでとうございます。
1月はコンサートがたくさんあります。
21日は大崎のl-e、残りはすべて水道橋のフタリです。
2月はヨーロッパにツアーに行って、3月中旬に帰ってきます。
その後もいくつかコンサートが予定されています。


1月16日(水)
佐伯美波ソロ
池田陽子ソロ(杉本拓作曲によるヴァイオリン/ヴィオラ曲)
19:30開場/20:00開演
2000円
水道橋Ftarri
http://www.ftarri.com/suidobashi/


1月20日(日)
19:30開場/20:00開演
Suidobashi Chamber Ensemble:池田陽子 (ヴィオラ)、池田若菜 (フルート)、大蔵雅彦 (クラリネット)、杉本拓 (ギター)、内藤彩 (ファゴット)
料金:未定
Léo Dupleixの作曲作品を演奏する予定です。
http://www.ftarri.com/suidobashi/


1月21日(月)
ju sei
変な即興バンド:
池田若菜(フルート)
Léo Dupleix(サイン・トーン)
大城真(自作楽器)
杉本拓(ギター)
浦裕幸(パーカッション)
19:30開場/20:00開演
2000円
大崎l-e
http://www.l-e-osaki.org/


1月23日(水)
Manuke Trio (マヌケ・トリオ):
Léo Dupleix (computer, objects, sine -tones)
杉本拓 (guitar)
佐伯美波 (voice)
19:30開場/20:00開演
2000円
水道橋Ftarri
http://www.ftarri.com/suidobashi/


1月24日(木)
Samuel Dunscombe [from Australia] (クラリネット)、杉本拓 (ギター)
19:30開場/20:00開演
2000円
小川道子(クラリネット)も参加予定です。変な即興バンド
http://www.ftarri.com/suidobashi/



今年(というか去年)はあまり本が読めなかったなあ。ツアーに何冊も本を持っていくのはかさばるので、厚みがない本か、文庫本が多くなる。
"STUDIES In ETHNOMUSICOLOGY Volume 1" は Folkways Recordsが出していたジャーナルで、古本屋で見つけたものだが、何で他の巻も買わなかったのだろうと激しく後悔している。1冊300円だったのだが、多分持ちあわせがなかったのだろうなあ。これは3月にヨーロッパをツアー中に読んだ本の一冊。
松本俊夫の『表現の世界』、細馬宏道の『うたのしくみ』、ローラ・クーンの編集による"THE SELECTED LETTERS of JOHN CAGE"等が2018年の収穫。ミルの『自由論』にも感銘をうけた。岡崎武史の『女子の古本屋』も面白かったなあ。自分の本も出ました。売れているのかいな?――(というより売っていない?)
それに年末は「ロシアもの」を多く読みましたね。これはまだ続いています。
今年は日本文学を読んでみようと思う。それとやはり音楽の本。"STUDIES In ETHNOMUSICOLOGY"、どこかで安く売ってないかなあ?


『音楽の零度 ジョン・ケージの世界』 J・ケージ 近藤譲朝日出版社 1980 (再読)
バルトーク』 伊藤信宏 中公新書 1997
"FOLK AND TRADITIONAL MUSIC OF THE WESTERN CONTINENTS THIRD EDITION" Bruno Nettle Princeton Hall 1990
スターリン・ジョーク』 平井吉夫編 河出文庫 1990 (再読)
フェルマーの最終定理サイモン・シン 青木薫新潮文庫 2006
"STUDIES In ETHNOMUSICOLOGY Volume 1" Editor: M. Kolinski Folkways Records & Service Corporation, Inc. New York 1961
『楽器の音響学』 安藤由典 音楽之友社 1971
丸山薫詩集』 昭南書房 1943
"Logical Investigation" Gottlob Frege translation by P. T. Geach and R. H. Stoothoff Oxford Basil Blackwell 1977
キネマ旬報セレクション 高畑勲キネマ旬報社 2013
『楽譜と解説』 杉本拓 サボテン出版 2018
『うたのしくみ』 細馬宏道 ぴあ 2014
『女子の古本屋』 岡崎武史 ちくま文庫 2011
『夢の中の夢』 アントニオ・タブッキ 和田忠彦訳 岩波文庫
『表現の世界』 松本俊夫 清流出版
『知とは何か』 P.K.ファイヤアーベント 村上陽一郎新曜社 (再再読)
『増補 響の考古学」 藤枝守 平凡社ライブラリー 2007(再読)
『論理哲学論』 ウィトゲンシュタイン 山本一郎訳 中公クラシックス 2001
フランダースの犬』 ウィーダ 村岡花子新潮文庫
アンダーグラウンド映画』 シェルドン・レナン 波多野哲郎訳 三一書房 1969
"THE SELECTED LETTERS of JOHN CAGE" Edited by Laura Kuhn Wesleyan University Press 2016
『回想のジョン・ケージ――同時代を生きた8人へのインタビュー』 末延芳晴 音楽之友社 1996 (再再読)
『日本の音を聴く』 (新増補版) 柴田南雄 青土社 1994
ベルイマン自伝』 イングマール・ベルイマン 木原武一訳 新潮社 1989
『故郷』 チェーザレ・パヴェーぜ 河島英昭訳 岩波文庫
『自由論』 J・S・ミル 山岡洋一光文社古典新訳文庫
デュシャンとの会話』 G・シャルボニエ 北山研二訳 みすずライブラリー (再読)
高橋悠治という怪物』 青柳いづみこ 河出書房新社 2018
『猫だましい』  河合隼雄  新潮文庫
『哲学者にならない方法』  土屋賢ニ  東京書籍  2013
『欧州ポピュリズム――EU分断は避けられるか』  庄司克宏  ちくま新書  2018
カラマーゾフの兄弟1』  ドストエフスキー  亀山郁夫訳  光文社古典新訳文庫
『賭博者』  ドストエフスキー  原卓也訳  新潮文庫
カラマーゾフの兄弟 2』  ドストエフスキー  亀山郁夫訳  光文社古典新訳文庫
『クロイツェル・ソナタ 悪魔』  トルストイ  原卓也訳  新潮文庫
『ロシア その民族と心』  川端香男里  講談社学術文庫
カラマーゾフの兄弟 3』  ドストエフスキー  亀山郁夫訳  光文社古典新訳文庫
『ボリス・ゴドゥノフ』  プーシキン  佐々木彰訳  岩波文庫
カラマーゾフの兄弟 4』  ドストエフスキー  亀山郁夫訳  光文社古典新訳文庫
カラマーゾフの兄弟 5――エピローグ別館』  ドストエフスキー  亀山郁夫訳  光文社古典新訳文庫
『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』  林瑞絵  花伝社  
猫町 他十七篇』  萩原朔太郎作  清岡卓行編  岩波文庫