ギター2

しかし、そうは言っても、楽器の構造による音色の違いは無視できないものがある。エレキ・ギターでありながら、ホロウ・ボディーのギターとソリッド・ギターは違う楽器と言えなくもない。音色の違い以外に、張る弦も違うし、奏法もやや異なるからだ。フルアコを弾く時にチョーキングをする気にはならないし、これにアームがついてたらなぁ、と思うこともない。ジャズやブルースでおもに使われるギターなので、エフェクターもあまり使われないのではないか?楽器そのものが音色に関与するパーセンテージが他のエレキギターより高いのである。なので、エレキ・ギターの中では、良い音と悪い音のヒエラルキーがはっきりしがちな種族なのだろう。値段もピンキリだ。しかしである。フルアコにおける良い音というのは、それが使用される音楽(たいていはジャズ、たまにブルースやロック)に求められているスタンダードな音色に依存しているのではなかろうか。私は、幾つかの例外はもちろんあるが、ジャズ・ギターの音というのがあまり好きではない。いや、ジャズに限らず、様々な音楽にフィーチャーされる、あのフルアコ独特の音色は苦手である。独特の艶かしさとハリがあるあの音色はどうも肌に合わない。にもかかわらず、私はフルアコを愛用している。やはり、楽器として、ソリッドのエレキには出さない音を持っているからだ。加えて、私は、ジャズ・ギタリストではないので、音色をジャズのそれにあわせる責任がない。フルアコがよくフィーチャーされる音楽が苦手なだけであって、そこから背景を抜き取ってみれば、つまり弾かれる内容が変わるということだが、なかなかに魅力的な楽器だと思うのである。あとは、私個人の問題で、それはいかに音色からハリと艶を抹殺するかである。(つづく)