ギター

いつだったか、御茶ノ水に行って、中古屋に並んだエレキ・ギター達を見て思ったんだけど、最近は恐ろしく安いギターがありますね。中古で10000円以下がごろごろある。当座の使い倒しにはこんなんで十分のような気もする。多分、音は良くない。しかし、エレキ・ギターの良い音って何だ!エレキ・ギターに本来の音はない。弾きかた以外にも、アンプによって、はたまたそのつまみの調節によって、弦によって、エフェクターによって、シールドによって、音(色)は変わる。皆が言う「良い音」というのは幻想でしょう。高いギターと高いアンプによってしか出ない音、それが貴重であるが故に、ひとつの「良い音」の見本と認識されうる、そういうことなんじゃないか。これはアコースティックの楽器にも言えると思う。「良い音」=「貴重な音(つまり、より大きな音が出たり、よりぬけが良かったり、より鳴ったり響いたりする音」、なのではないかと。私ははっきりと、「良い音」はないと思う。ただそういう幻想に騙されてみるのは悪くない。ようするに文化ですからね。あっ、良い音だな、と思うことはしょっちゅうある。でも、それはその「音」が良いのか、演奏が良いのか、ただコンテクストにはまっているのか、一体何をもって良い音なのかは曖昧であることがほとんどだ。表現したいものによって、良い音はそれぞれ違う。私がギターを買うときに一番気にするのは、値段のことは置いといて、「弾きやすさ」である。次に「見た目」。愛でて楽しめない楽器はつまらない。音は、普通でいい。というより、好みとしてはあたりさわりのない、平均的な音が好きだ。まぁ、「平均的な音」というのも幻想なのではあるが、安物の(特に)エレキ・ギターはそういう「平均的な音がする」。この手の音が一番使いやすい。しかし、安物には欠点があって、それは楽器に狂いが生じることである。古いギターの良いところは、もしそれが良いコンディションを保っているならば、長い時間の経過を通しても楽器に狂いが生じなかったということある。ある程度お金をかけないと、そういう楽器にはめぐりあえない。しかし、音だけであれば、安物のそれで十分であるかもしれない。だけどルックスが良いと思うのはないですけどね。