宣伝、その他

”にもかかわらず、ひとつの対象物が真にとらえられているか、または絵が現実的かどうか、ということはいかなる枠組みや方式が標準的であるかということに、いつでもまったく依拠している。リアリズムの問題とは、ひとつの絵とその対象物との間の恒常的で絶対的な関係ではなくて、その絵に用いられた表現のシステムと標準的システムの関係である。”(Nelson Goodman "Languages of Art" p38)

今更気づくのも遅いと思うが、グッドマンの用語は、使い方が独特というか、特別な意味を持たされていて、これがなかなかやっかいである。
"representation" "denotation" "description" "expression" "exemplification" "imitation" "inscriptions" "reference" ....
なんとなくは理解できるのだが、どれも”表すこと”とか”指示”とか”記すこと”等の、近い言葉と言うかなんというか、しかも組み合わされて使用されるから、頭がこんがらかってくる。『世界制作の方法』にもこれらの用語は同じように(頻繁に)でてきたはずだが、いったい私はどう対処していたのか?しかし、『世界制作の方法』の方が気楽に読める本だったような気がする。こちら(”Languages of Art")の方は理論書の趣が強い。特に第4章(theory of notation)は難物である。テクニカルな論証が続く。言葉の壁があり、続いて哲学的知識の不足の問題もあり、この章を半分でも理解して渡りきることは私にとって難しいだろう。しかし、こういった(人によっては)屁理屈をこね回しているような哲学は実に面白い。わけのわからないことを言って煙にまいているようなところがなくて、誠実に考えている。それは伝わる。こういうものを難しい本と言ってはいけない気がする。しかし、早く訳書が出ないだろうか?これを訳すのは大変な仕事だと思うが(理解出来うる内容だけに)、是非、用語その他の解説をつけて出版してほしい。その前にこちらも『世界制作の方法』の訳書を読もう。前に図書館で借りてすべてに目を通したのだが、もう一度きちんと読むべきだろうと今にして思う。今度はグッドマンの用語がどう訳されているかにも注意を向けなければいけない。例えば"representation"(一番重要と思われる用語だが)ひとつとっても私には適切な日本語が思い浮かばない。翻訳というのは本当に大変な仕事だ。


以下は宣伝です。



杉本拓作曲シリーズXX

5月21(木)22日(金)
19:00open /19:30start
予約2000円 
当日2200円
(1ドリンク付き)
於/キッド・アイラック・アート・ホール http://www.kidairack.co.jp

出演:
秋山徹次(21、22)
大蔵雅彦 21、22)
大蔵雅恵(22)
木下和重(21、22)
黒澤勇人(21、22)
公文南公(22)
杉本拓(21、22)
塩田玲子(21、22)
徳永将豪(22)
しばてつ(22)
米本篤(21、22)


作曲:杉本拓

曲の譜面は、全休符、Cの全音符、Dの全音符、全休符、Dの全音符、Cの全音 符、全休符の7小節(すべてフェルマータ付き)。それか、CからD、およびDとCがグリッサンドでつながれたヴァージョン。演奏者はそのどちらかを演奏。オクターブは自由。
この7小節を長い時間を使って演奏します。どういうことかというと、人によっては、極端な場合、最後の10秒でこれを演奏してもいいし真ん中あたりでやってもよい。全音符も全休符も長さは任意で、各奏者に委ねられています。ロング・トーンが出せる楽器(循環呼吸による管楽器、弦楽器等)であれば、一つの全音符に数分(あるいは数十分)かけることも出来ます。
作曲と言うよりは、思いついたことをやってみるという意味で、実験。
二通りのやり方を考えていて、ひとつは約70分かけて7小節を演奏するもの。もうひとつはショート・ヴァージョンで、様々な時間単位、2分から10分くらいのユニット内で7小節を演奏して、それを重ねるというもの。
22日は70分ヴァージョンをやります。21日はショート・ヴァージョンでやる可能性があります。(杉本拓)