フランス

どうもフランスものが苦手だ。食べ物も音楽も映画も思想も。フランス文化には“衒い”が充満している。これがどうも肌にあわない。
今日、DVDでトリーフォーの『あこがれ』と『大人は判ってくれない』を観た。監督は一種の変態であろう。まぁ、嫌いではない。でも、おなじ変態でも、例えばイタリア映画とかはもっと胸をはってバカをやっている気がする。フランス映画はどうも斜にかまえていて、思わせぶりが多い(トリーフォーはそうでもないが)。
大人は判ってくれない』を観て、かなり気持ちはわかりますが、これは「うらみ」を表現しているじゃないだろうか、と思ってしまった。暗いんだよな〜。まるで藁人形に五寸釘を刺しているかのような怨念を感じる。こう思うのは男性だけかもしれないが、しかし、こういう陰湿なところがフランスが日本人に好まれる理由なのかもしれない。
映画の内容とはほとんど関係ないが、映画に登場するフランスの車は小さくてかわいい。何らかの事情があって車が小さくなっているんだと思うが、良いデザインだと思う。動く生活空間としての車という感じがする。コロンボの愛車もプジョーだったし。もっとも、今は車も様変わりしただろうが。
私がフランスで好きなのは「かわいらしさ」だ。フェティシズムである。しかし、それは芸術よりも日常の生活の品々に見出されることが多い。確かに、家具とか雑貨とか、ちょっといいなと思うのがありますよ。素敵なものにかこまれた生活も悪くないか、みたいな事は思う。しかし、そんな妄想をもつと、今度は創作活動が出来なくなる。なので結局は無視するしかなくなる。
恐らく、“衒い”も装飾のひとつで、粋が大切なんだろう。江戸の粋とフランスのそれは似たところがあるかもしれない、そんな事を思いました。