読書備忘録2

月曜日は、----用事がなければだが----、怠けるだけ怠け、何もしないことにしているが、何故か、ふと手に取った "TRACTATUS LOGICO-PHILOSOPHICUS" Ludwig Wittgenstein translated by C. K. Ogden Routledge (ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』)を読む事に一日を費やしてしまった。この本は英文を書く際の引用文献として購入したもので、今までちゃんと目を通したことがなかった。
改めて読んでみて思ったことは、これは私の手に余るな〜ということ。内容というより英語がである。私は2種類の日本語訳を参照しながら読んだので、文の理解に困るということは少なかったが(むしろ楽しい読書だったが)、この英語だけではそうはいかなかっただろう。文章が、よくはわからないが、古風というか、実にとっつきにくいのである。独特で、面白いような気もするのだが・・・。
訳者のオグデンという人は言語学者で、英語の語彙を850語に限定しようという運動の中心人物だったらしいが、それなのにこういう英文を書くんですかい(それにくらべて、バートランド・ラッセルによる序文のなんと読みやすいことよ)? というより、そうだからなのか? というのは、オグデンがそういう活動をしていたことは、『英語表現をみがく <動詞編>』(豊田昌倫 講談社現代新書)を読んでいたときに知ったことであり、しかもその本は、基本的な単語だけを使ってもコミュニケーションは十分出来るということを教えようとしているのであるが、それらの例文の多くが私にはどうもあまりなじみのないものだったからである。へー、こん な言い回しがあるのだ!と関心しっぱなしだった。ようするに私の勉強不足である。
しかし、実際に訳したのはフランク・ラムジーであるという説もあり、そのことをほのめかすようなクレジットもあるので、私の感じる難解さはオグデンに帰するものなのではないのかもしれない。それとも、ウィトゲンシュタインのドイツ語にそういった調子があるのか? 書かれている内容が難しいというのもあるだろう。注意深く書くしかなく、故に翻訳にも正確さが要求される。何語で読んでも、要するに簡単には理解できない代物なのだ。
ドイツ語でウィトゲンシュタインの原文を読んでみたいものであるが、さすがにいまさらドイツ語を勉強して、それが可能になるとも思えない。英語ですらままならないというのに(ついでに言えば日本語も)。それに私はミュージシャンである。こういうことにうつつを抜かしてよいものだろうか?

その他読んだ本:
『ダメットにたどりつくまで』(金子洋之 勁草書房
『身分差別社会の真実』(斉藤洋一+大石慎三郎 講談社現代新書)1995
クワイン ホーリズムの哲学』(丹治信春 講談社)1997
『なつかしのTVアルバム』(岩佐陽一 文春文庫PLUS)2001
『時間は実在するか』(入不二基義 講談社現代新書)2002
『<子供>のための哲学』(永井均 講談社現代新書)1996


来週末は仙台に行きます。


即興実験音楽会/live

2012年10月6日(土) 18時30分開場/19時開演

会場
ギャラリーチフリグリ (宮城県仙台市宮城野区五輪1-11-12)
http://chifuriguri.sakura.ne.jp/gallerychifuriguri/chifuriguri.html

出演
杉本 拓 (guitar)
jai
小野須貝橋本トリオ

料金
1500円 (1ドリンク付)

問い合わせ
melodynote@hotmail.co.jp (須貝)

“杉本拓”
ギター奏者、作曲家。音数の少ない、弱音を基とした独自の実験音楽を作曲、演奏。大崎l-eを活動の拠点としている他、2011年9月にニューヨーク、2012年2月にはロスアンゼルスアムステルダムで行われた各実験音楽フェスに招待され演奏する。仙台では3度目のライブとなる。

http://deepsea-fish.com/?p=550