読書備忘録 2016 上半期

ジョン・ケージ伝ー新たな挑戦の軌跡』 ケネス・シルヴァーマン 柿沼敏江 論創社 2015
『憂鬱と官能を教えた学校』 菊地成孔大谷能生 河出書房新社 2004
『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか』 吉原真里 アルテス 2013
『能・狂言の基礎知識』 石井倫子 角川選書 2009
『これからの小田急小田急電鉄株式会社 取締役社長 安藤楢六 日本対談文庫 日本通信社 1965
『能はこんなに面白い!』 内田樹 観世清和 小学館 2013
『ようこそ能の世界へ 観世銕之亟 能がたり」 暮しの手帖社 2000
『駄菓子屋図鑑』 奥成達(文) ながたはるみ(絵) 飛鳥新社 1995
『彼方より』 中井英夫 潮出版社 1974
『「悪魔祓い」の戦後史』 稲垣武 文芸春秋 1994
『「こねこ」とロシア映画の今』 杉浦かおり ユーラシア・ブックレット 東洋書店 2001
『文化の言語学』 唐須教光 勁草書房 1988
『建築的思考のゆくえ』 内藤廣 王国社 2004
『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』 橘玲 幻冬舎 2010
『日本の神秘思想』 金岡秀友 講談社学術文庫 1993
マホメット井筒俊彦 講談社学術文庫 1989
ソニックメディテーション』 ポーリン・オリヴェロス 若尾裕 + 津田広志 訳 新水社 1998
サウンド・エデュケーション』 R・マリー・シェーファー 鳥越けい子・若尾裕・今田匡彦 訳 春秋社 1992
『子守り歌の誕生』 赤坂憲雄 講談社学術文庫 2006
『本当は恐ろしい「平和」と「人権」というファシズム』 佐藤貴彦 夏目書房 1999
『オペラをつくる』 武満徹 大江健三郎 岩波新書 1990
『科学の方法』 中谷宇吉郎 岩波新書 1958
『60年代って何?』 石川好 岩波書店 2006
日本民族芸能概論』 三隅治雄 東京堂出版 1972
『日本精神史研究』 和辻哲郎 岩波文庫 1992
『凡人として生きるということ』 押井守 幻冬舎新書 2008
お能の見方』 白州正子 吉越立雄 新潮社 トンボの本 1993
『草木虫魚の人類学』 岩田慶治 講談社学術文庫 1991
『まつり 民族文化の素型』 萩原秀三郎 美術出版社 1968
『イギリス新鋭作家短編集』 柴田元幸訳 新潮社 1995
『音律と音階の科学』 小方厚 講談社ブルーバックス 2007 (再読)
『バカのための読書術』 小谷野敦 ちくま新書 2001
空海入門ーー弘仁モダニスト竹内信夫 ちくま新書 1997
『能と狂言の音楽入門』 三浦裕子 音楽之友社 1998 (再読)
『日本の子どもの歌』 園部三郎 山住正巳 岩波新書 1962



今年は本をあまり読まないつもりでいた。特に日本語で書かれたものは…
読了するのに時間がかかりそうな英語の本をゆっくりと読んで、まあ、1年で6〜7冊、日本語のものを4〜5冊、というのが去年末に立てた計画で、実際に3月頭まではそういうペースであった。
しばらく本を意図的に少し遠ざけようと思ったのである。
ところが、色々な偶然(と恐らくは必然)が重なり、その計画は思い描いていたのとは違う方向に進み始めた。
まず、今年に入って読み終えた英語の本は一冊もないこと、次に、やたらと「日本」に関する本を読んでしまったことである。
読書量が意図に反して増えたことは、まあ必然と言えるかもしれない。今は詳しく書けないが、「読書」がある意味で仕事の一部になりつつあるからである。
しかし、「日本」関係の本を読むようになったきっかけは偶然である。そして私はその偶然を喜ぶべきこととして受け入れた。
とは言っても、私は読書に関しては雑食で、割とこだわりなくなんでも読む。自分の好みに合致するだろう本だけを選んで読むわけではない。しかし、実はそういう読書の仕方を少なくとも今年はやめるつもりでいたのである。血となり肉となるかもしれない(実際的な?ーーつまり自分の仕事に必要とされる)本だけを少し選んで読むつもりであった(それも英語のものをメインに)。
ところが、まるでそうはならなかった。一旦読書が中毒的習慣に戻ると、何でもかんでも興味を引くものを読みたくなってしまうのである。
今年に入って今のところ最も読み応えがあったのは、和辻哲郎の『日本精神史研究』である。特にその中の「沙門道元」。曹洞宗の開祖である道元のことを書いたエッセイである。和辻の書く道元は、曹洞宗ーーあるいは禅宗ーーのとりすました、「カフェ」的な静的イメージの対極にある人物であった。
我が一族の墓は曹洞宗豪徳寺にあり、一時期はその寺の真ん前のアパートに住んでいたこともあって、随分とそのビジュアル・イメージには親しんでいるが、それと和辻の道元がまるで結びつかないのであるーーこういうことが刺激的となる。


話は変わり、美学校で講演(?)します。7月1日なので、もう明日です。
あー、毎度のことながら、つい宣伝を忘れてしまうダメな私です。

http://bigakko.jp/event/2016/sugimoto-taku


その後は、水道橋のフタリで、≪水道橋チェンバー・アンサンブル≫のコンサートがあります。

"Suidobashi Chamber Ensemble 第二回演奏会"
7/9(土)19:30/20:00 予約・当日2,000円
出演:池田陽子、池田若菜、大蔵雅彦、杉本拓、内藤彩
http://www.ftarri.com/suidobashi/