続きの続き

飯田さんの店でレッド・ホット・チリ・ペッパーズを初めて聴いた。正直、全然好きではなかった。初期はまた違うと飯田さんは言ってたけど、私の聴いたのはただの商業ロックとしか思えませんでした。正直、聴いたことのないロック・バンドが私にはたくさんあります。オアシスも、ニルヴァーナすら聴いたことがないです。どこかで耳にはしているはずですが、ちゃんと意識して聴いたことがないということです。今、図書館から借りたイーグルスのベスト盤を聴きながらこれを書いてますが、こっちの方にレッド・ホット・チリ・ペッパーズよりはロックを感じてしまうのは何故なんでしょうか?
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2週間くらい前になるが、『管楽合奏コンクール』(中学生の部)なるものを観にいった。姪っ子が参加するというので、まあ、たまには素朴な合奏に触れるのも悪くはないかと、それなり期待して出かけたわけだが、これが私の予想とはまったく違ったものでありました。最初の合奏団が登場。マリンバだかヴィブラフォンだかの奏者は弓をかまえて指揮者の合図をまっている。えっ、まさか?音楽が始まると私は驚愕した。これは、ゲ、ゲ、ゲンダイオンガクではないですか!最初のだけかと思ったが、次のも、また次のも、私が観たのはおおむね全部現代音楽といって良いものだった。今の中学生はこんなものをやっているのか、いや、やらされているのか?普通に巧い、というかこんなしっかりとした合奏は私の周りにはそうそうない。細かいところは間違えているのかもしれないが、破綻もなく堂々とした演奏。最初の合奏で、おもわず私は吹き出してしまい、その後も笑いをこらえきれない瞬間がたびたびあった。ちょっとしたパニックに襲われたので、私の防御反応がでたのだろう。こんな難しい、頭痛の種になりかねない音楽を、みんな一生懸命に精神集中して演奏している。これは素晴らしいことだと思う。練習大変だったろうな〜、がんばって決勝まで来れて、みんな良かったね、と声をかけてあげたい気にもなる。だけど、中学生ですよ。みんなこういう音楽演奏していて楽しいのだろうか?みんなで力をあわせてひとつの音楽をつくる、難しければ難しいほど達成感がある、ということなんだろうか?それはもちろん立派な目標ではあるが、しかし、こういう現代音楽みたいなものは普段の彼らの生活にないでしょう?中には好きで聴いている大物ないしプロを目指している子もいるのかもしれないけど、普段はテレビの主題歌とかポップスとかを聴いていると思うんだけどなぁ。大人の専門家がやるようなことを、しかしほとんどの大人の生活にすらないようなものを、なんで中学生の彼らがやるのだろうか。専門家は自分のやっていることに理解があり意義も感じているだろうが、中学生にはそれはわからないと思う。お仕着せの音楽という感じがどうしても拭えない。つまり、生きた音楽ではない。アマチュアリズムもまったくなし。何でこういう恐ろしいことが起こるのか私なりに考えてみたが、つまりこれは、彼ら中学生が将来に遭遇することになる社会秩序とその厳しさを音楽を通して疑似体験させるということではないか。もしそうだとしたら、そうでないことを願うが、なんとも夢のない話である。大人の事情を音楽に持ち込んではいけません。パーカッション部隊が特に凄かった。総勢7〜8人なんだが、彼らはひとつの楽器だけやれば良いというのではない。ちょこっとカスタネットみたいのを鳴らして、今度は鍵盤打楽器、おつぎはドラといった具合にとてつもなく忙しい。しかも全員がこの調子だから、移動のフォーメーションを憶えるだけで一苦労であろう。こういうのを憶えるのが苦手な子は、音楽以前の段階で頭を抱えることになる。実際あの移動の光景を見ると、もう音楽をしているんだかなんだかわからない。ひとり要領の悪そうな男の子がいて、どうも間違えたところに移動したらしく、叩くものがなくてじっとしていたことがあった。そのびくびくした佇まいを見ると、「あっ、しまった、やっちまったよ〜」という彼の内面の声が聞こえてくるかのようで、私は同情を禁じえなかったです。この少年は私なんではないかと。今思えば、観たすべての学校がこのようなパーカッション部隊を配していたわけではないが、印象は強烈で、ひょっとして大掛かりな移動を含むパーカッション演奏というのがこの手のコンクールにおける流行みたいになっているのではないだろうか?規律を見るということで、審査の対象にすらなっているのかもしれない。このへんの事情には疎いので、まったく憶測で言ってるだけですが。しかし、まあ凄まじいものを観ました。流石に決勝だけあって、みなさん洗練された演奏ですよ。けれども、どうも工場生産の規格品に思えてくる。最初の予選から決勝に進むにつれて、規格外のものが排除された結果として、そういう演奏が並ぶんだろうな。だったら、ひょっとして予選の段階ではもっと面白いアナーキーな演奏が聞けるのかもしれない。例えば、全員がユニゾンで単旋律を最初から最後まで吹くようなのがあれば、破壊力抜群だと思う。しかし、そんなアホなことは誰もやらないでしょう。その時点でサヨナラとなってしまうのがわかりきっているから。でも、そういうのが聞きたいな。