来年の一発目はコレ
core of bellsと杉本拓のゲ正月!
2012年1月7日(土)@大崎 l-e http://www.l-e-osaki.org/
core of bells+杉本拓
開場 18:00 / 開演 18:30
入場料 2,300円(1ドリンク+ゲ雑煮付き!)
予約:coreofbells@hotmail.com(限定20名)
さて、2011年はどんな年だったか。
まず、津波/原発の問題があった。私はもちろん原発反対だが、どう、いかに反対するか、これについて考えざるをえなかった。ひとつは、我々の現在の生活のあり方がどこかおかしく、これが必然的に原発を必要としてしまう、だから、我々自身の生活のあり方を見直していくことによって原発を必要とするようなシステムとは別の社会を目指そう、という考え方。一種の回帰主義だが、これはうまくいかないだろう。つぎに、我々は現在の快適で便利な生活環境を手放したくないが、原発は嫌だ、というもの。これは、原発と今の生活との深い関わりは重々承知だが、なんとか原発だけを切りはなせないかという考え方である。これをもう少し前向きに、建設的にすると次のような考え方になる。私はこれが一番うまくいくのではないかと思う。つまり、我々の便利で快適な環境をさらに良くするためにこそ、原発のような不安定でコストのかかるものではなく、より合理的で安全な代替エネルギーを見つけなければならない、というもの。企業やメディアはこういう思想のもとで金儲けのネタを考えていけばいいんじゃないかな。私自身はそういう金儲けが良いとは思ってませんが、うまくいくならそれでよし。こちらはこちらで今まで通りなんとかします、と。
本。たくさん読んだ。でもよく思い出せない。哲学書はあまり読んでないかな。論理学と数学の本を少々。そのかわり、音楽の本をたくさん読んだ。こんなことは今までなかった。教科書的なものから、楽器の本、エッセイ類まで。特に「実験音楽」に関するものを積極的に読んだが、これは例の事件が後を引いているのが大きい。私はしつこい性格である。James Saundersが編集した"EXPERIMENTAL MUSIC"は秀逸だった。なかでもAntoine Beugerのインタヴューには感銘を受ける。
音楽はあまり聴いていない。ライブでもっとも印象に残っているのは、前も書いたけど、宇波君とアネッタのデュオと木下君のジェネシス。録音では、新譜といえるもので買ったのはEDITION RZのChristian Wolffぐらいだが、これがなかなか良かった。一曲目のJanos Negyesyのヴァイオリンが素晴らしい。
歌で良いなと思ったのはアニス&ラカンカ。実は、かなり前からその傾向はあったのだが、歌もの(バンド編成のそれを含む)がますます聞けなくなってきた。好きとか嫌いとか、良い悪いではなく、「こんな不自然な音楽があるのか」という気持ちになってしまうのだ。自分の人生には関係ないと言うか、何と言うか。詩を書いて曲を作って歌う(そして演奏する)、まあ自然な表現欲求である。しかし、そうであるからこそ、歌が現れる環境とかコンテクストが自動的に用意されてしまう。その上での表現になってしまって、そこから「個性」が生まれる。この「個性」に私は耐えられない。それはオリジナリティーとは別のものです。歌こそがそれが現れる場所に対してクリティカルでなければならない、と考えるのは私だけなんでしょうか?「個性」が出現する以前のところにある歌を考えなければいけないのではないのだろうか。歌に限らないけど。私も歌と無関係な活動をしているわけではないので、自分を除外するわけにはいかない。これについてはいつか別に書きます。アニス&ラカンカの演奏は自然に聞けた数少ない歌のひとつだったが、何故だかはよくわかりません。
実験音楽の作曲は、上に述べた事情が関係しているのだと思うが、よりシンプルなものを指向するようになった。友人のひとりが「最近は(この界隈で)普通の器楽の作品が少ないね」ともらしたことがあって、それが後押しにもなった。かといって、具体的にどうするか、というのは難しい。作品というのは基本的に、「これを作ろう」と思ってできるものではないから。この前l-eでやった"snare drum"は完成に2年以上かかった。あんなくだらないアイデアになんでそこまで執着できるのか、我ながら呆れる。捨てた譜面も多いから、実務作業時間もけっこうかかっているし。かと思うと、突然の思いつきがうまくいったりすることもあるから、作曲は一般的な意味での仕事にはなりがたい。経験は必要だが、それが常に役に立つとはかぎらないし、むしろゼロから始めたほうがうまくいくこともある。
CxOxBとの活動は自分の作曲活動とは真逆に見えるかもしれないが、こちらも大切である。根本的には同じなのかもしれない。最近思うのは、彼らとの活動は音楽活動ではなくて一種のゲリラ活動なのではということ。極端な話、別に音楽やらなくたっていいんじゃないかとすら思う。京都と名古屋に一緒にいったけど、実際の演奏以外もライブなんだよね。色々気づかされる事が多い。この前、下北沢で彼らのライブがあったので観にいった。会田君と飯田さんのところに飲みに行こうという話になった時、彼が「飯田さんのところまでどれくら時間かかります?」ときいてきた。「10分か15分か」と答えると、「じゃあ、飲みながらいきましょう」とコンビニに入って行った。いや〜、今までそんなこと考えた事なかったですよ!
ということで、よいお年を!