新譜

密かに新譜を作ってました。といっても、実際に音にしたのは宇波拓さんで、私は(譜面を書いた他は)プレス屋さんにマスターを持っていっただけです。あとジャケットも作ってるか。
さて、普通はここで、とても面白い内容なので皆さんに聴いていただきたいです、とか書くのかもしれませんが、(まぁ、いつものことかもしれませんが)私自身このCDが面白いのかどうか正直よくわかりません。音はサイントーンだけで、しかも終始ピッチが同じ。これが鳴ったり鳴らなかったりするだけ、という、いつもの私の得意技が展開されてます。
今回は実際の音がどうなろうともリリースする気でいました。いっそのことマスターをチェックするのもやめようかと思いましたが、エラーがあると問題なので、何回か聴きました。仕上がりの完璧さの他は(流石は宇波先生)、特に深い感想はなかったです。たぶんこうなると思ってた通りでした。
なんでそんなCDをリリースするのかと言えば、それは、私がとてもひねくれているからです。こういう音楽に関わっているからこそ私は人生をエンジョイできているとも言えます。
なので、音楽そのものが面白くなくてもいいじゃないのかと、そう思うのですが、このへんの想いはなかなか言葉にするのが難しい。ケージじゃないですが、我々は楽しみすぎてはいませんかね? 私も人の子なので色々な快楽に溺れてますが、だからこそこういう退屈(?)なCDに希望を見出しているのかもしれません。リリースしたくなるんです。
いや〜、しかしこれは売れないだろうな。横断歩道の前に立って信号の点滅に何かを感じて、何時間かそれに見とれるような人がいれば(いるとは思えませんが)、もしかしたら、そういう人には何かを感じ取ってもらえるかもしれない、そういう音です。
今回のCDは2曲収録してますが、右チャンネルと左チャンネルに一曲づつということになってます。一枚のCDで70分(正確な時間は忘れました)の曲が2曲楽しめる、というお得な構成になってます。とは言ったものの、別々に聴く人はほとんどいないでしょうね、たぶん。別にそれはそれでかまいません。
また例のごとく、海外からネガティブなレポートがよせられるのでしょうが、一応の言い訳として、「これは、無味乾燥なサイントーンに俳諧の精神が表出するかどうかの実験である」が思いついたのですが、もちろんこれは後づけです。

Taku Sugimoto

26 (2009) electronic version

left channel: 26 - 1
right channel: 26 - 2

realized by Taku Unami
2009 in Tokyo

slubmusic tengu 3