アルスエレクトロニカ

三輪眞弘さん(直接の面識はない)からメールが届いた。

                                                                                                                                                                                          • -


プリ・アルスエレクトロニカ受賞者のみなさまへ

現在、東京都現代美術館で「サイバーアーツジャパン ― アルスエレクトロニカの30年」展が開催されていますが、これを機に、今までアルスエレクトロニカに関わったことのある人々の気軽な集い(ライブイベント)を計画しています。

「アルスエレクロトニカ30周年をみんなで祝おうライブ!」
日時:3月20日(土)15:00〜(予定)
場所:vacant(渋谷区神宮前3-20-13)
http://ae30.com/

つきましては、プリ・アルス受賞者の方に、連絡先のわかる範囲で参加のよびかけをさせていただております。ご多忙とは存じますが、ぜひご参加いただけたらと思います。また、当日ご参加いただけない場合でも、賛同者としてお名前を公開してもよい場合、上記のホームページの申込フォームより御連絡いただけましたら幸いです。また、アルスでの展示やパフォーマンスのドキュメント、また受賞作品についての写真やビデオをウェブ(flickr)や当日vacant1階カフェで公開し、微力ながら、アルスエレクトロニカについて知らない方にも知っていただく機会になればと思っております。素材を提供してくださる方は、このメールへの返信で、3月6日までに御連絡いただければと思います。

                                                                                                                                                                                          • -


私、アルスエレクトロニカのことは良く知りません。何年か前に吉田アミちゃん達がそれの何とか賞を受賞して、しかもそれなりの賞金がでるというのを聞いて、それは良かったね!と思ったことがありました。日ごろ貧乏している音楽家がお金をもらうのは良いことじゃないですか。あー、ちくしょう、俺もお金ほしいな〜、と嫉妬もしましたね。その時は我々も出品していて、後になって中村としまるから、ホノラリーなんとかというのに名前が載っていたよ、と聞いた。それって賞だったんですか?知りませんでした。「あなたは受賞しました」というメールも来なかったし、パンフレット(ってあるのでしょうか)も送られてこなかったので。だいたい、出したのも誰かの差し金だった気がする。我々は別にエレクトロニクスの音楽家ではないし、そのCDも中村さん以外はアコースティックの楽器を弾いていたんじゃなかったっけ。しかも、即興。よくは分からんが、どうもアルスとは関係ないように思えた。これまで誰が受賞した、とかそういうことも全然知らなかったし、出してはいても、まぁ他人事でした。そういえば以前ケヴィン・ドラムがなんかの賞をおしくも逃したと言う話をしていたが、それがアルスだったのか、ということくらいしかその時はアルスに関しては知りませんでしたし。今も似たようなもんです。でもリストを見ると結構日本の方が受賞しているんですね。角田さんの名前もある。
しかし、これは個人的な意見ですが、どうも賞というのは嫌ですね。そのホノラリーなんとかも、できればなかったことにしてほしいくらい(どうもそれが賞であるらしいので)。賞というのはなんか立派じゃないですか?自分としてはそんなものをやっている気は毛頭ないので、なんかの間違いで偉い賞なんかとってしまったら困ってしまうわけですよ。だいたい、自分ですら自分のやっていることが分からないのに、それをああだこうだ言って、ひとつの権威にしたてられたりしたら、もしそのようなことが我が身におこれば、これには我慢がならないな。もちろん、批評されたり、ほめられたり、というのは歓迎ですよ。しかし、ある作品なり芸術家なりが、権威づけられた作品や偉い人になってしまうと、その作品や人に対するアクセスの仕方にバイアスがかかってしまって、どうも健全じゃないと思うわけです。ある作品が正当化されたら、それが芸術であることがむつかしくなっていくんじゃないかなぁ。賞とはこの正当化(justification)以外のなにものでもないのでは?人によっては、それは選ぶ時の参考にはなるかもしれないが、そもそも賞とかがなければ、人はもっと慎重に何かを選んで、そしてそれに対して考えをめぐらせるのではないのかな。私はいかなる賞も辞退したいですね。
しかし、上に述べた事は理想であって、私も、もし賞にお金が付随するのであれば、なかなかその誘惑を断ち切るのは難しいだろうな〜。アルスエレクトロニカの一等賞っていくらくらいもらえるんだろう?50万とか100万とかかなぁ〜。あー、もしそんなお金が今あれば、生活は潤うだろうなぁ。当分は質屋に行かなくてすむし。しかし、見方を変えればはした金でもあると思う。それを元手に何か商売が出来る、とかそういう金額ではないからね。
もし賞金が一億円だったら(ないと思うけど)、それはあなた、もちろんロンです。すぐに牌を倒しますよ。一億円あれば、何もしなくても残りの人生の費用をまかなえるだろうから。ひょっとしたらおつりがくるかもしれない。家や車やそういうものは無理だろうけど、それはなくてもいいし、別に高級な料理が食べたいわけでもない。旅行もしなくていいや。あとは、服を古着屋でまかない、立飲み屋とか立ち食いそば屋とかで食事してれば、十分に何とかなるでしょう。Life is wonderfull!!...
・・・なんてことは絶対おきないだろうから単なる妄想でしかないけど、50万〜100万の賞金にうろたえる、ということはまかり間違えばあるかもしれない。そういうときにどうしようか。そんな時に、母親から電話がかかってきて「お父さんの入院費が足りなくて」と言われたり、カミサンに「あなた今月も赤字よ」とつつかれたり、子供に「お父さん、クラスのみんなが持ってるのに、どうして家には○○がないの?」と懇願されたり、ということがないとも限らない。今まさに必要とされるお金が手に入るかもしれないのに、自らのケチな理想のためにそれを拒否する、そんな悪魔みたいなことを私は出来ませんよ。とりあえず今から出来る事は、賞の匂いのするところに近づかない。そうすればそういう問題はいくらか回避できるかな。
問題は賞であって、お金ではありません。前者はいらないが、後者は欲しい。ギャラであれは問題ないわけです。100万だろうが200万だろうが遠慮なくいただきます。しかし、ホノラリー・メンション(思い出した)、これ、賞金ゼロと欲しくない名誉、一番いやな組み合わせだなぁ〜。本当になかったことにしてほしいです。

書き出すと止まらなくなってしまった。私はイベントにケチをつける気はありません。「アルスエレクロトニカ30周年をみんなで祝おうライブ!」、こっそりと観にいこうかな。アルスエレクロトニカのことは知らないに等しいので、その香りだけでも味わっておいてもいいかなと・・・。