私は寝るのは大好きだが、見る夢は悪夢が多い。そしてすぐ忘れる。しかし、今朝の夢は良く憶えている。しかも悪夢と言う感じではなかった。ペーソスの漂う演出がなされていたのだ。

私は旅に出ようとしていた。グーグル・マップかなんかで、目的地を調べているのだが、どうもそこは実家の最寄り駅のあたりである。しかしスケールが違っていて、実際の10倍くらいの大きな街になっている。本来商店街のあるところを電車が走っていて、その中ほどに別の駅がある。現実の街ではその地点(夢の中で駅があるところ)から本当の駅まで200メートルくらいだろうか。それが2〜3キロの距離になっている。私は何故かその電車に乗っており、その新しい駅で降りた。駅に改札はなく、というか駅舎すらなく、プラットホームからぬけでるにはパン屋を通過しなければならない。しょうがないのでそのパン屋に入って出ようとすると、外の世界は広大な駐車場のようになっている。現実の世界では確かにそのあたりに駐輪場があり、パン屋もある。が、パン屋も駐輪場もとにかくでかい。さてどうしよう、あたりには何もないし、このままでは目的地までいけないぞ。と思ってたら、パン屋の隣に駄菓子屋があるのに気づく。その駄菓子屋に入ると、レジにいるのは美しい女性。その横にはこの街の地図と思しきものがつんである。「あの〜、その地図を一枚もらえませんか?」と頼んでもらった地図には私の目的地が印してあった。少し距離があるが歩けないことはないな、と思ったところで場面が切り替わる。並木道である。物凄く気分がいい。BGMには太田裕美がぴったりするような感じである。私は意気揚々と歩き始めた。しばらく歩いて、ふとした時に足元を見ると、靴を履いてないことに気づく。「う〜ん、アベベ東京オリンピックではシューズを履いたらしいし、私の旅も長くなりそうだから、靴はあったほうがいいんじゃないか」みたいな葛藤の後に、結局、靴をとりに戻る決心をする。取りに戻った先が何故か実家だった。しかし建物が現実のそれとは全く違って、どこかの住居を兼ねた街医者みたいになっている。鍵かかかって中に入れないので、塀をよじのぼり裏庭から中を覗くと、葬式の真最中だった、それも私の。何というタイミング。これはまずい、今は入れないな、みんなが寝るのを待って、そっと靴だけ拝借して退散することにしよう、と思って物置かなんかに隠れて待つこと数時間。やっと夜になり家に入ろうとすると、そこにサンダルがあった。面倒くさいからこれでいいや、じゃ皆さんお元気で、とそこを去ろうとした。去ろうとしたんだが、最後にもう一度家の中を見たときに、私の遺品がまとめてあるのに気づく。あー、まいったな、あの中にはエロ本とかエロビデオがあるんだよな〜。故人の思い出に傷がついちゃかわいそうだな〜(何故か他人事)。面倒くさいけど回収するか。てなことで中に入り、風呂敷をほどいてコレクションを回収していたら、せっかくだから、この世のなごりに、そして旅の前のけじめに、ちょっとだけ観ていくか、という気分になり、ビデオを再生した。ところがこれが全然エロくない。ブラッケージ晩年の作品を彷彿させる実験的な映像。けれども私は見入ってしまった。その時、物凄い数の虫が飛んできて、外に飛び出そうとしている。何匹かは網戸にひっかかっていたのでよく見ると、これが本物の虫ではなくてチョコエッグのおまけみたいなオモチャ。ここで目が覚めました。