予告

「大変だす、先生」
「なんぞな、おぬし、そんなに興奮してからに、もし」
「コンサートがあるという噂を耳にしただす」
「誰のコンサートぞな、それは、もしかして」
「先生のコンサートだす」
「それはわしがブッキングしたからにして、当然知っているぞな。なんでおぬしが興奮するぞな」
「先生のコンサートとあっては、これは一大事だす。いつものようにお客さんがちびっとだすと、先生の沽券にかかわるだすからに」
「なにもおぬしが心配することではないぞな。わしもちいとばかりは考えておるぞな。そこで宣伝をばするぞな」
「だったら、一刻を争うことだすぞい。いつなんだすか?」
「何と、おぬし知らんのか、もし」
「もったいぶってからに先生、早く教えるだす」
「12月9日から11日までの三日間ぞな。大崎のl-eぞな」
「前にうまいそば屋があるあそこだすな。わしよだれがでてきただす。あと近くに焼き鳥屋とかもあるだすな。いまから楽しみになってきただす。ライブ前に先生と一緒に一杯やりたいだす」
「おぬしの頭には食い物と酒のことしかないのか、もし。わしは芸術をやりにいくのぞな。実験音楽ぞな、ミニマリズムぞな」
「さすが先生だす。難しい言葉を知ってるだすな〜。難しいことはよくわからないだすが、先生の音楽は好きだすからに」
「おぬし、どこが好きぞな?」
「緊張して腹がへるだす。喉が乾いて、酒が旨くなるだす!」
「おぬし、一度病院でオツムを診てもらったほうがよいぞな」
「なんだすか〜、先生。失礼だすよ」
「すまんぞな、しかし、わし、ちみっと頭がいたくなってきたぞな」
「それは大変だす。酒を飲んだほうがよいだす。ところで、コンサートでは何をやるんだすか〜?」
「それはまだちゃんと決まってないぞな。おぬし、相談にのってくれるか、もしかして?」
「もちろんだす。先生のためなら、野をこえ山を越えてだす。これが男の生きる道だす」
「わかったぞな、おぬし。どこぞの立ち飲み屋でいっぱいやるぞな、もし」
「さすが先生だす。話がわかるだすな〜」
「ところでおぬし、ちゃんとコンサートには来るのか、もしかして」
「バッツリ行きますぞい。セニョール!」